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2024-08-05 05:20:00
注目のNMNを生化学的プロセスから読み解く
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は、高齢犬を飼ってらっしゃる方にとって、注目のサプリメントだと思います。
そもそも、NMNの普及は、遺伝子工学と分子生物学の進歩により、2010年に入ってからマウスモデルを使用した実験で、NMNが老化に伴う生理的衰退を遅らせる効果が確認されたことにより、NMNが老化遅延や寿命延長に対して有効である可能性が示されたことから始まります。現在ではこれにより世界各地でNMNの研究が行われ、人間の医療現場でも使用されるようになっているサプリメントです。
【図式解説】
①愛犬が経口摂取するとSLC12ABというたんぱく質がNMN成分を細胞内に輸送します。
②NMNが、NMNアデニルトランスフェラーゼ(NMNAT)という酵素によって触媒され、NAD+に変換されます。
③NAD+が細胞内のミトコンドリアに取り込まれます。ミトコンドリアは細胞のエネルギー工場であり、エネルギー源のATP(アデノシン三リン酸)を生成するために重要な役割を果たします。
④ミトコンドリア内の「電子伝達鎖」という流れを活用してエネルギー化されます。電子がこの流れに乗ると、プロトン(小さな粒子)がミトコンドリアの内側から外側へ押し出され、プロトンの流れが発生します。この流れが「ATPシンターゼ」という特殊な機械を動かし、最終的にATPが生成されます。
⑤ミトコンドリアは、ATPを基に細胞の代謝プロセス、カルシウムの調節、アポトーシス(プログラムされた細胞死)の調節などを行います。
⑥DNA修復を担うPARP(ポリADPリボースポリメラーゼ)が、ATPをエネルギー源に、NAD+も消費してプロテインを引き寄せます。これによりDNA損傷を修復し、細胞の遺伝情報の安定性を保ちます。
⑦遺伝情報が安定すると、この情報を基にセルトゥイン(老化防止と細胞機能の維持に関与する酵素群)か活性化し、これにより細胞の老化を遅らせるとともに細胞の活性化を促進します。
⑧神経細胞の保護と機能維持にも貢献します。