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2025-02-20 18:35:00

愛犬ジュニアの闘病—獣医学の限界と予防医療における栄養学の役割

最愛の家族であり、私たちのかけがえのない存在であったゴールデンレトリバーのジュニア(♂)が、2024年2月17日、11歳5ヶ月で永眠しました。

昨年7月、ステージIVのリンパ腫と診断され、そこから闘病生活が始まりました。ゴールデンレトリバーはリンパ腫の発症リスクが高い犬種であり、診断時にはすでに進行しているケースが多いことが知られています。

 

犬のリンパ腫治療におけるCHOP療法とUW-25プロトコル

ジュニアの治療には、犬のリンパ腫治療における標準的な多剤併用化学療法「CHOP療法」が用いられました。
CHOP療法は、以下の4つの抗がん剤を組み合わせた治療法です。

  • C:シクロホスファミド(Cyclophosphamide)
  • H:ハイドロキシダウノルビシン(Hydroxydaunorubicin/ドキソルビシン)
  • O:オンコビン(Oncovin/ビンクリスチン)
  • P:プレドニゾロン(Prednisolone)

特に、ウィスコンシン大学獣医学部で開発された「UW-25プロトコル」は、25週間にわたる厳格な治療スケジュールを採用しており、寛解率や生存期間の延長において高い成功率が報告されています。

エビデンスによると、UW-25プロトコルを適用した犬の完全寛解率は80〜94.2%生存期間の中央値は287〜397日とされています。これは、犬の高悪性度リンパ腫に対する化学療法として最も確立された治療法の一つといえます。ただし、個体差によって反応は異なり、すべての犬が長期生存を達成するわけではありません

ジュニアもこのCHOP療法を受け、当初は治療効果が見られたものの、薬剤耐性の壁に直面しました。化学療法の効果が次第に薄れ、病状の進行を止めることはできませんでした。

 

ホスピスケアの提案と独自の判断

化学療法の効果が薄れてきた段階で、獣医師からはホスピスケアの提案を受けました。


これ以上の積極的治療ではなく、ジュニアが残りの時間を穏やかに過ごせるよう、緩和ケアへ移行してはどうか

 

獣医学的には、それが現実的な選択だったのかもしれません。しかし、私は「本当にこれでいいのか?」と葛藤しました。

がん治療には限界がある。それは理解しています。しかし、少しでも彼の体調を維持し、穏やかな時間を増やせる可能性があるなら、できることをすべて試したい。
その想いから、私は独自の代替アプローチの模索を決断しました。

 

NMN配合の設計と鍼治療の導入

科学的エビデンスに基づき、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)の独自配合を設計し、ジュニアに投与することを計画しました。

NMNは、NAD+の前駆体として細胞のエネルギー代謝を促進し、老化や炎症抑制に関する研究が進められている成分であり、がんの進行に伴うエネルギー代謝の変化を考慮し、組み込む価値があると考えたのです。

しかし、最適な配合を設計する過程で、ジュニアは亡くなってしまいました。

その間、少しでも彼の体調を維持し、生活の質を向上させるために、鍼治療を取り入れました
東洋医学的なアプローチとして、血流の促進や疼痛管理を目的とした施術を行いましたが、病の進行を止める決定打にはなりませんでした。

「発症してからでは遅い」— がん治療の厳しい現実

獣医学の進歩は目覚ましいものの、進行したリンパ腫においては根治が極めて難しく、現状では治療の限界があることを痛感しました。
がんは遺伝的要因と環境要因が絡み合って発症するため、完全に防ぐことはできません。しかし、適切な栄養管理や生活習慣によって、発症リスクを下げたり、発症を遅らせることは可能です。

つまり、「発症を完全に防ぐ」ことはできなくても、「発症を遅らせる」「リスクを減らす」ことは可能であり、それが予防医療の本質であると考えます。

 

ペット栄養管理士としての使命—予防医療の未来へ

ジュニアの闘病を通じて、私はペットの健康維持における食事ケアの重要性を改めて実感しています
栄養は免疫機能の維持や炎症リスクの抑制に寄与する可能性があり、食事管理を適切に行うことが病気のリスクを軽減する鍵と考えます。

今後、私たちはペットフード開発において、エビデンスに基づいた成分選定をさらに強化し、免疫力を支える栄養戦略の実践に注力する所存です。

ジュニアが私たちに残してくれた教訓は、彼の命とともに消えるものではありません。
彼の勇敢な闘いと共に過ごした日々は、これからの私たちの指針となります。

 

ジュニア、ありがとう。
あなたの存在は、これからも多くのペットの健康を守るための礎となるでしょう。
どうか安らかに。

愛犬ジュニアの闘病—獣医学の限界と予防医療における栄養学の役割