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2025 / 09 / 06  09:30

🐾元気がないのは退屈?それともストレス? ──犬猫・カメ・小鳥・ウサギのサイン解説

🐾元気がないのは退屈?それともストレス?  ──犬猫・カメ・小鳥・ウサギのサイン解説
「最近うちの子、なんだか元気がない…」 そんなとき、私たち飼い主はつい「体調が悪いのかも」と思いがちです。 でも実際には、“退屈”と“ストレス”という全く別の背景が隠れていることがあります。 重要なのは、この二つは見た目が似ていてもケアの方向性は真逆だということ。 ここを誤解すると「元気づけたいつもりが、かえって悪化」という事態も起こり得ます。(※1、※2) 🟢退屈サイン(刺激不足) ヒマすぎて、やることがないときに見られる行動です。 ・同じ場所をぐるぐる歩く(淡々と同じ動き) ・じっと一点を見つめ続ける ・声をかけても反応が鈍い 👉 対策は「刺激をプラス」 散歩コースの変化、知育トイ、登れる台、におい探しなど。 ただし同じ刺激の出しっぱなしは効果が薄れます。おもちゃはローテーションで新鮮さを保ちましょう。(※3、※4) 動物別の具体例 ・犬・猫:同じおもちゃにすぐ飽き、わざとイタズラをする ・カメ:水槽のガラスに頭を押し付けて動かない ・小鳥:止まり木を噛んだり、羽をむしる仕草が増える 🔴ストレスサイン(刺激過多) ・不安や緊張で心身に負担がかかっている状態です。 ・落ち着きなくウロウロする(速さやリズムが不規則) ・過剰に吠える・鳴く ・毛をむしる、しっぽをかむ 👉 対策は「刺激を減らす」 静かな環境づくり、隠れ場所の用意、接触や声かけを控えるなど。 実際、シェルター犬の研究では、騒がしい時間帯に「ボール遊び」より「ラベンダーの香り」や「フード入りコング」の方がリラックス効果を示しました。(※1) ラベンダーの犬への鎮静効果は臨床研究でも確認されています。(※5) 動物別の具体例 ・犬・猫:来客や雷の後にソワソワして吠え続ける ・カメ:甲羅干し台からすぐ飛び降り、隅に隠れる ・ウサギ:耳を伏せて隅に固まり、動かなくなる ◇「境界があいまいな行動」への見方 行動の中には、退屈なのかストレスなのか判別が難しいものもあります。 例:「ぐるぐる歩き回る」 →退屈:一定のペースで淡々と繰り返す →ストレス:落ち着きなく速さやリズムが変わり、周囲を気にしている 👉観察のポイントは「文脈と全体像」です。 同じ行動でも「環境(静かな部屋か、騒がしい場か)」や「他のサイン(鳴き声・体勢)」を合わせて判断しましょう。 🧑‍⚕️藤のひとこと 「刺激を足すべきか、減らすべきか。 この分岐点の見極めこそ、飼い主に求められる観察力です。 迷ったときは“退屈か、過覚醒か”を先に考えてみましょう。」 ◇まとめ ・退屈サインには「新しい刺激」を。 ・ストレスサインには「安心できる環境」を。 ・曖昧な行動は「周囲の状況」や「他のサイン」と一緒に観察する。 皆さんのおうちの子は、どちらのサインを見せることが多いでしょうか? コメント欄でぜひシェアしてください🐶🐱🐢🐦🐇 参考文献 ※1) Dare, P., & Strasser, R. (2023). Ruff Morning? The Use of Environmental Enrichment during an Acute Stressor in Kennelled Shelter Dogs. Animals, 13(9), 1506. https://doi.org/10.3390/ani13091506 ※2) Balietti, M., & Conti, F. (2022). Environmental enrichment and the aging brain: Is it time for standardization? Neuroscience & Biobehavioral Reviews, 139, 104728. https://doi.org/10.1016/j.neubiorev.2022.104728 ※3) Young, R. J. (2003). Environmental Enrichment for Captive Animals. Oxford, UK: Wiley-Blackwell. ISBN: 978-0-632-06407-6 ※4) Wells, D. L. (2009). Sensory stimulation as environmental enrichment for captive animals: A review. Applied Animal Behaviour Science, 118(1–2), 1–11. https://doi.org/10.1016/j.applanim.2009.01.002 ※5) Wells, D. L. (2006). Aromatherapy for travel-induced excitement in dogs. Journal of the American Veterinary Medical Association, 229(6), 964–967. https://doi.org/10.2460/javma.229.6.964